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医療法務

医療機関が個別指導に呼ばれたら弁護士にまず相談することの大切さ

弁護士の中で個別指導に行ったことがある人は実は少ないですが、私たち弁護士は、医療法人の役員として直接参加もしたこともありますし、医療法人やクリニック、接骨院等の帯同で一緒に個別指導に行ったことも何度もあります。

弊所での実績として個別指導に関する出動の日数で言えば、ここ5年間で300日は優に超えます。

また、今現在、この原稿を書いているのが2022年2月2日ですが、今月も既に2件入っています(実際には1か月前に通知がほとんどです)。

すなわち、弁護士の中でのこの【個別指導】というのは、非常に専門的なために対応できていないのが実情なのです。

弁護士のための医療法務

現在、医療に関してあまり詳しくない弁護士さんでも対応できるように、現在、第一法規にて既に出してある【弁護士のための医療法務】の各論・完結編を執筆中です。

これによって多くの弁護士さんが個別指導の依頼を受けた際にどうすればよいのかがわかるようになり、対応できる弁護士さんが増えれば医療機関の方も個別指導に安心して対応していただけるようになると思います。

そこに執筆する具体的な概要だけ下記記します。

①平時

そもそも平時から顧問弁護士の指導を受けてカルテの書き方を指導してもらうことが大切です。
診療報酬の請求について危機を持たれない医療体制作りをするというのが最も大切です。
これができていれば個別指導に弁護士が帯同する必要はありません。

②個別指導通知が来た場合

◎一番やってはいけないこと

一番やってはいけないことは加筆です。これは偽造と判断される可能性が高いです。普段からきちんとやっていなくとも、個別指導でしっかり指導を受けて自主返金した上で以後改善に努めるべきでしょう。

◎弁護士に依頼をする

まずやることは弁護士に依頼をするところから始まります。そして、1週間前に指定のカルテの枚数(20,30通など)を指摘されたらそのカルテの記載について想定問答を弁護士から指導してもらうことが大切です。
何が聞かれるかわからなければ何もできないからです。
医療に携わる弁護士はカルテを見て、何が聞かれるかを理解できるくらいは医療についてわかっていなければならないということになります。

◎個別指導当日

個別指導当日は、心配なら早めに弁護士と落ち合っていろいろ心配な要素を聴くべきです。実際に個別指導が始まった場合には、弁護士は何も話しをすることができません。
※ただし、医療法人の理事や監事等役員である場合には弁護士が主体となって話すことができます。これは弁護士の立場ではなく当事者の立場での参加だからです。

◎個別指導後

個別指導が終わると1か月程度(東京は2か月程度)で通知が来ます。これは、概ね良好、経過観察、再指導という結論が出ます。
概ね良好はほとんどなく、再指導は必ず翌年に呼ばれます。経過観察の場合でも経過を観察されているわけなので、やはり呼ばれる可能性があります。
レセプトをよく観察しているので、私の感覚だと3割程度は翌年呼ばれて結局再指導になっているのではないかと思います。
むしろ、あえて経過観察にして安心させて不意打ちを狙うケースもあるようにも思えることがあります。

◎自主返還・再建プラン

実はこれが一番大切です。自主返還はもらい過ぎていたのですから当然のことです。ただ、理由がないところまで返金する必要はありません。必要十分な範囲だけ返金することが肝要です。
また、再建プランをきちんとしなければまた呼ばれます。保険請求の資格にも響きますので、ここが弁護士に相談すべき最も大切な部分ともいえるでしょう。
これは行政への提出を求められます。

いかがでしょうか。個別指導についてご理解いただけましたでしょうか。保険請求する資格は保護されていますが、あくまで【国の庇護】のもとにあるので、【不正】は許されません。ただ、何が不正かについては【法律】と【医療】の理解が不可欠です。しっかりと正しく経営していくために、弁護士の関与が必要不可欠だということだと思います。

なお、一旦保険医がなくなるとそうそう再指定はしてもらえなくなります。取り返しのつかないことにならないよう、普段からきちんと請求をすることが大切ですね。

05/03
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