コラム

COLUM

コラム

COLUM

一般事件

離婚の基礎知識

第1 離婚手続の流れ(離婚の種類)

1 離婚の種類

離婚の方法には、手続の段階によって、協議離婚、調停離婚、裁判離婚があります。これは、どの段階で離婚が決まったかという分類です。
話し合いで離婚を決め、役所に離婚届を提出することを、協議離婚といいます。
これに対して、裁判所の離婚調停や裁判を利用して離婚することを、それぞれ、調停離婚、裁判離婚といいます。

2 協議離婚

夫婦間の話し合いで別れるという合意がまとまり、離婚届に署名捺印して役所に提出すると、離婚が成立します。これを協議離婚といいます。
この際、子供の親権者以外の事項は決まっていなくても離婚を成立させることができますが、その場合、慰謝料、財産分与、養育費といった金銭問題が残ってしまいます。
離婚するに至った原因を相手が作った場合や、あなたが財産をもらう側の場合、離婚届を提出してしまう前に、離婚の条件について決めておいた方がよい場合が多いです。なぜなら、離婚成立後は、相手の協力が得られない、あるいはまったく連絡が取れなくなることもあるからです。婚姻関係は自分のことを拘束していますが、相手のことも拘束していることを念頭に置いておきましょう。
離婚の条件を一度決めると後から変更することは難しくなりますので、条件を決めるときは、弁護士に一度相談されることをお勧めします。民法763条(協議上の離婚)
夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。

同739条(婚姻の届出)
婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。

同764条(婚姻の規定の準用)
第739条の規定は、協議上の離婚について準用する。

解説すると、亡くなった方に子供や孫がいる場合、親は相続人になりません。また、親や祖父母がいる場合、兄弟姉妹は相続人になりません。
  亡くなった方の子供が亡くなっている場合にその子孫が代わりに相続人となったり、兄弟姉妹が亡くなっている場合に甥姪が代わりに相続人になることを、代襲相続といいます。亡くなった方の子孫は、理論上はひ孫、玄孫の代まで何代でも代襲相続しますが、甥姪のさらに子供は代襲相続しません。

3 離婚調停

直接の話し合いでの離婚が難しいときは、家庭裁判所に夫婦関係調整調停(離婚)という調停を申し立てて、裁判所の調停委員という人に間に入ってもらい、離婚の話し合いを進めることができます。これを離婚調停といいます。
離婚調停では、裁判所に何度か足を運び、調停委員に事情を説明し、双方が折り合える離婚の条件を考えていくことになります。険悪な結婚相手と面と向かって話をする必要はなく、待合室なども離れているので、事前に断りなく顔を合わせることは通常ありません。
離婚の条件がまとまれば、裁判官と裁判所書記官がその条件を調停条項に記載した調停調書を作成し、離婚が成立します。
調停委員が話を聞いてくれるため、必ずしも弁護士をつける必要はありません。しかし、調停委員は当事者どちらの味方でもないため、なるべく争いを減らして調停をうまくまとめるために、当事者が気づいていない問題点を黙っているといったことがあります。最大限の主張を行うためには、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

裁判離婚

  1. 離婚原因
    調停を行っても、どうしても相手が離婚に同意しない場合は、裁判に訴えることを検討します。
    なお、調停を経ないで離婚訴訟を提起することは、結婚相手が行方不明などで話し合いのしようがない場合を除いてできません。これを調停前置主義といいます。
    裁判離婚は、国が強制的に夫婦を離婚させるという強力な手続なので、離婚させることもやむを得ないような離婚原因が必要となります。法律で離婚原因が決められていて、これと無関係な事情は、裁判離婚の理由とはなりません。
    一般的なケースで離婚原因となるのは、不貞行為、家庭内暴力(DV)、長期間の別居の3つです。民法770条(裁判上の離婚)
    夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
     一 配偶者に不貞な行為があったとき。
     二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
     三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
     四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
     五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
  2. 不貞行為(※性行為に関する表記が含まれます。ご注意ください。)
    離婚原因となる「配偶者に不貞な行為があったとき」(不貞行為)とは、結婚相手以外の異性との性交渉のことです。
    性交、肛門性交や口腔性交だけでなく、口淫、手淫など性交に類似する行為(性交類似行為)も不貞行為に含まれます。
    同性愛など、異性でない相手との性交渉は不貞行為の定義から外れますが、実質的に不貞行為と同程度に夫婦関係を破綻させる行為であれば、「その他婚姻を継続し難い重大な事由がある」とされて、離婚原因となります。
    不貞行為が裁判所で認められるには証拠が必要ですが、性交渉そのものの直接的な証拠を入手するのは通常困難なため、裁判所は、異性と2人でホテルに出入りした事実や、異性の家に2人で宿泊した事実などがあれば、不貞行為があったと認定することが多いです。
  3. 家庭内暴力(DV)
    家庭を持った大人が、結婚相手に一方的に暴力を振るうことは許されません。「婚姻を継続し難い重大な事由がある」として、離婚原因となります。
    言葉の暴力であっても、限度を超えれば、同じく「婚姻を継続し難い重大な事由がある」として、離婚原因となり得ます。
    ただし、言葉の暴力だけで離婚原因となるのはよほど酷い場合に限られます。また、物理的な暴力があっても、互いに反撃して喧嘩になっていることが多ければ、DVとは認められないかもしれません。次に説明する長期間の別居もまた離婚原因となりますので、暴力や罵倒に耐えられないと感じたら、早めに別居することも一案です。
  4. 長期間の別居
    前述した明確な離婚原因がなくても、長期間にわたって別居していて、客観的に見て夫婦関係の修復が見込めないときは、「婚姻を継続し難い重大な事由がある」と認定されます。
    長期間というのはどのくらいか、はっきりと決まっているわけではありませんが、調停を申し立てる時点で約2年半以上継続して別居していることが、長期間の別居を離婚原因として挙げる目安となります。
  5. 有責配偶者からの離婚請求
    自分が先に不貞行為をして夫婦関係を破綻させたなど、離婚原因を作った責任の重い側が離婚を請求しても、原則として離婚は認められません。
    ただし、絶対に離婚を認められないというわけではありません。別居期間が10〜20年程度の長期にわたっている場合は、離婚が認められることがあります。

離婚したときに変わること(離婚の効果)

1 親権

  1. 親権者
    子供のいる夫婦が離婚する場合、子供をどちらが引き取って面倒を見るか(監護するか)が大きな問題となることが多いです。日本では、離婚した場合、親権者は一人となりますので、親権者を父母のどちらにするかを決めることになります。これを、親権者の指定といいます。協議離婚の場合、夫婦間の合意で親権者を決めますが、合意できない場合には、家庭裁判所で、調査官との面談などを経て指定してもらうことになります。
    ケースによっては、親権者と監護権者をそれぞれ父母で分けて指定することもありますが、ここでは親権者が監護権者を兼ねる通常の場合に沿って説明します。民法819条(離婚又は認知の場合の親権者)
    1 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
    2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
    5 第一項、(中略)の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
  2. 親権者指定の考え方
    家庭裁判所で親権者の指定を受ける場合、家庭裁判所とその調査官は、「子の利益」つまり現状からみて子供にとってよりよい環境かどうかを考慮して指定します。
    もっとも、何が子供にとってよりよいかは人によって考え方が異なります。裁判所では、次の要素を柱として考慮するのが一般的です。離婚について協議する際も、もし合意できなかったら裁判所は自分を親権者に指定してくれるかを意識しながら話し合ことが大切です。民法766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
    父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
  1. 継続性の原則
    継続性の原則とは、現状維持、今の環境をなるべく壊さないようにするという原則です。
    子供にとって安定した環境がある場合、最も重要視されることの多い原則です。具体的には、転居が不要、現状住んでいて子供にとって抵抗がない、転校、転園などを伴わない、といった要素が考慮されます。
    親権者指定のときに「実際にいま子供と一緒に住んでいる側が強い」と言われることがあるのは、この継続性の原則が重視されるためです。
  2. 母性優先の原則
    かつては、「育児は母親がすべき」という意識が強かったため、親権者指定では母親が優先されると言われていました。
    しかし、現在では、男女平等の観点と、育児環境の多様化に伴って、「夫婦のうち、育児を主に担当していた人が親権者となるのが望ましい」と理解されています。夫婦が円満なうちから育児にコミットしていたこと、育児に積極的なこと、同居親族が協力的であることなどが大切です。
  3. 子供の意思尊重の原則
    裁判所が15歳以上の子供の親権者を指定するには、絶対ではないものの、子供の意見を聞いて尊重しなければならないと法律で定められています。また、15歳未満の子供でも、自分の置かれた状況を理解している子供に対しては、調査官が子供と会って話を聞くのが一般的です。
    このように子供の意向は尊重されますが、子供がどちらと一緒がいいと言ったからといって、必ずその通りになるわけではありません。
    稀に、調査官面談の前に子供に対して離婚する相手の悪口を吹き込む親がいますが、調査官はその可能性を念頭に置いて話を聞きますので、発覚してかえって悪印象を持たれることがあります。親としても、子供の気持ちを尊重している姿勢を示すことが大切です。
  4. 兄弟姉妹不分離の原則
    なるべく親の離婚で子供同士まで離別させるべきではないという考えです。上記の原則の補助として考慮されることがあります。
  5. 面会交流の積極性
    家庭裁判所では、子供のいる家庭の離婚調停の場合、片方の親が子供に暴力を振るっていたような例外的な場合を除いて、別居親との面会交流の機会を設けるように勧められることが多いです。そのときに面会交流に協力的であれば、あえて子供を同居親から引き離して別居親のもとに移す必要はないとの判断に傾きやすくなります。
  6. 子の奪取の違法性
    継続性の原則のところで、「実際にいま子供と一緒に住んでいる側が強い」と言われることがあると述べましたが、違法に子供を連れ去った場合には、親権者として不適格とされる場合があります。別居後になって相手の家に勝手に入って連れ帰る、幼稚園に行って早退させて連れ帰るといった行為は控えましょう。

2 養育費

親が離婚しても、子供にとっては父母どちらも親であることに変わりありません。そのため、子供が成人するまで、別居親は、実際に子供の面倒を見る代わりに、養育費を負担することになります。協議離婚などで養育費を決めずに離婚したときは、後から養育費の取り決めを求めることができます。
養育費の金額は、夫婦の収入と子供の人数、年齢ごとに、おおまかな算定基準があります。詳しくは、裁判所の公表している『養育費・婚姻費用算定表』をご確認ください。
なお、いったん養育費の金額を決めて文書を取り交わすと、後からの変更は困難な場合が多いです。ご注意ください。

3 面会交流

親が別居していても、子供にとっては両方とも親であることに変わりないため、原則として、可能な限り別居中の親と会う機会を設けることが望ましいと考えられています。そのため、DVに近いケースを除いて、子供と別居親の面会交流の機会を設けるのが一般的です。

4 財産分与

  1. 財産分与の基本
    婚姻中に夫婦の協力で増えた資産は夫婦の共有財産となりますので、離婚時にこれを分割します。実際には、離婚直後に生活が破綻しないように考慮されたり、あるいは不貞行為等がからむケースでは慰謝料としての要素も兼ねて財産分与額が決められることがあります。
    財産分与では、「婚姻中に」「夫婦の協力で」増えた資産が対象となります。結婚前から持っている物や、夫婦どちらかの親からのプレゼントや相続財産などは、特有財産といって、財産分与の対象となりません。
    財産としては、現預金、車、不動産などのほかに、保険や将来の退職金なども対象となることがあります。
    婚姻中に夫婦の協力で増えた資産を、蓄財への寄与度に応じて分割することになります。第768条(財産分与)
    1 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
    2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から2年を経過したときは、この限りでない。
    3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。
  2. 年金分割
    夫婦の一方が厚生年金に加入していた場合、その結婚相手の方は、財産分与の一環として、年金の一部を分割して自分が受給することができます。夫婦の合意が必要な場合と、年金機構に申請するだけでよい場合がありますので、詳しくはご相談ください。
  3. 婚姻中の借金と財産分与
    財産分与のとき、借金はどうなるでしょうか。
    前提として、借り入れをした債務者(借主)は、貸付を行った債権者(貸主)に対して全額を返済する義務を負っています。夫婦間で借金についてどんな取り決めをしても貸主には関係ないことですので、プラスの財産のように、返済義務そのものを分けて半分の返済義務を免れるということは(貸主が承諾しない限り)できません。
    そのため、プラスの財産と借金を差し引き計算して、借金の債務者側とそうでない側でトータルの金額が寄与度に応じた割合となるように分割することになります。
    なお、財産分与はあくまでプラスの財産を分けることを想定した制度なので、プラスの財産を足しても借金の方が多い債務超過の場合、超過額の半分を返済するように求めることはできないと一般に考えられています。
  4. 住宅ローンと財産分与
    借金で問題となりやすいのは住宅ローンです。夫婦で借り入れている場合や、連帯保証人となっている場合、銀行が放棄しない限り、離婚後自分が家に住まなくなっても、借主・連帯保証人のままとなります。離婚後も住み続ける側が返済を続けることが多いと思われますが、返済が滞ると連帯保証人まで請求を受けることになりますので、離婚時に、代わりの連帯保証人を立てて自分を離脱させるように求めるか、売却を視野に入れる必要があります。
  5. 姓(名字)の復氏
    結婚したときに姓を変えた方は、離婚すると原則として旧姓に戻ります。
    旧姓に戻さない場合は、離婚から3か月以内に市町村へ届出ることで、結婚後の姓を戸籍上の正式な姓として使い続けることができます。離婚から届出までの間に転居などが挟まると手続が複雑になることがあるので、なるべく離婚後速やかに行うようにしましょう。
    3か月を過ぎてしまった場合、旧姓に戻り、原則として結婚後の姓を使い続けることができなくなりますが、家裁に姓の変更許可の申立てを行う方法もあります。ご相談下さい。第767条(離婚による復氏等) 婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。
    2項 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。
  6. 婚姻費用(別居中の生活費)
    夫婦は法律上互いに支え合って生活する義務がありますので、離婚していない別居期間中、収入の少ない側は、生活費の一部を負担するように求めることができます。
    金額は、裁判所が養育費と似た表を用意しており、夫婦の収入と子供の人数、年齢ごとに、おおまかな算定基準があります。
    詳しくは、裁判所の公表している『養育費・婚姻費用算定表』をご確認ください。
  7. 不貞慰謝料
    離婚そのものの効果ではありませんが、結婚相手が不倫・浮気をしていた場合は、その精神的苦痛に対する賠償として慰謝料を支払うように請求することができます。詳しくは、不倫・浮気の解説でご説明します(コラムを更新予定)。

04/19
現在

離婚の基礎知識無料相談受付中
下記よりお問い合わせください